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さびしさの方程式

Equation of loneliness




昨日、色んな本屋を回って「どろろ」全三冊を買ってきた。一巻は明倫堂、二巻はブックオフ、三巻は紀伊国屋で。
実際は三巻から買っていったんだけど、一巻がどこに行っても見つからなくて明倫堂でやっと入手できた。
本屋が多い久留米とはいえ、探して回るのはなかなか大変だったよ・・・(;´Д`)
そんなわけで、早速全三巻一気に読んでしまった。

物語は醍醐景光が、自分が天下人となるために魔物に息子の肉体を捧げるところから始まる。そうして48体の身体の一部を奪われ生まれた子供は捨てられ医師である寿海に拾われ身体、彼によって欠損した身体を補われ、彼によって育ての父として育てられ、百鬼丸という名前を付けられる。
だが、百鬼丸を狙う魔物により次第に普通の生活ができなくなり、彼は旅に出ることになる。そして旅の途中で、48の魔物を倒せば完全な身体が手に入るということを何者かに告げられ、以後彼は魔物退治の旅をしていくことになる。
そして旅の途中で彼の腕の刀を狙う泥棒どろろに会い、以後二人は一緒に旅を続けることになる。


どろろ (第1巻) どろろ (第1巻)
手塚 治虫 (1974/09)
秋田書店

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読んでいて思ったのがブラックジャックどろろとは共通点が多いということ。
実の父親に捨てられた百鬼丸と黒男(BJ)、本間先生と寿海という育ての父のような存在、実の父との因縁、奪われて生まれた身体と一度はバラバラになった身体、必死のリハビリ。
百鬼丸どろろBJピノコ
この作品では百鬼丸を導く琵琶法師として登場する琵琶丸BJではライバルである鍼灸師の琵琶丸として登場する。
そしてアニメ版BJでのBJ父、間影三の名前は醍醐景光から取ったのか?

だけど、物語としては結構面白かった。
前半でそれぞれの登場人物の背景についてもよく語られていて、百鬼丸がなぜ旅を続けているのか、どろろはなぜ一人で盗みを続けていたのかなど。
また妖怪との対決や琵琶丸によって百鬼丸が大きく考えを改めさせられ、成長していく姿もなんだか良かったし、魔物たちとの対決も面白かった。また村を救ったはずが村人からは不吉と捉えられて村を追い出されるのもなんだか人間の汚いところを見たような気にもなった。
あと、「ばんもんの巻」のところで一つの町が分断されていたのはやはりベルリンの壁や朝鮮半島への皮肉なのだろうか?
分断していた壁がなくなって互いの民が再会するところはベルリンの壁が崩れたときを思わせた。
ただ、残念なのは、やっぱり後半。
実の弟である多宝丸との兄弟対決もなんだかあっさり終わってしまった感じがしたし、実の父、景光との対決も結局なんだか中途半端で、しかもすべての身体を取り戻す前に終わってしまう。
希望としては、もっと長く描くことで一大叙事詩として描くことができたんじゃないかと思うし設定もよかったんでそこは残念・・・。
なんかラストはまるで芥川龍之介の「羅生門」のようだった。
それがなんかなあ・・・、隠れた名作とだけ言われる所以なのかもしれない。僕も映画化がなけりゃこの作品知らなかったもんな・・・。

そして、映画のキャスティングでどうして柴咲コウ?と思ってたら実は男として育てられた女がどろろなのね。最後あたりで判明するんだけど。
だけど、こうして原作を読んでみて改めて映画の予告を見ると、どれがどの場面でこの人がこの役やってて、このシーンの意味はこうだなっていうのが大体分かったんはなんかなんか嬉しかったかも。
それだけに、なんか映画版も期待してしまう・・・。
キャスティングも原作見て改めてみてみると結構合ってる気もするしね(笑

まあそれはともかくとして、尻切れトンボとして終わってしまってたこの作品だけど、でも妖怪ものとしても冒険ものとしても十分に楽しむことができたし、結局そういう魔物を作り出してるのって人間の欲望なんだろうなということを思った。
人間の良い部分も悪い部分も描いていて善も悪もあまり固定化されていないとこにもまた、この作品の魅力を感じる。
もう一回読み返してみようかな?
なんかノベライズも結構評判なようだったから、そっちも読んでみようかと思ってる。


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