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さびしさの方程式

Equation of loneliness

Category :  写真物語
tag : 
一枚の写真から物語を紡ぐ企画、写真物語。
今回はこの飛行機の写真から発想してみる。

air0371.jpg

「天使の空」

鋼鉄の鎧を身にまとい空を駆ける天使達。
私は今日も空港の屋上から飛び立つ天使、羽を休む天使達を眺めている。

私の父は国防の天使-空軍パイロットだった。
そして天使のような父親だった。
でもあの日、父は鋼鉄を脱ぎ捨て本物の天使になってしまった、永遠に空へ飛び立ったまま羽を休めに帰ってくることはなかった。
父は、隣国のどこかに殺されたのだ。

10年前のあの日、スクランブル発進した戦闘機が領空侵犯機を追い払った直後エンジントラブルにより空中分解して洋上に墜落した。
公式の発表ではそうだったし、私もずっとそれを信じ込まされていた。
けど、真実は違っていた。
父は領空侵犯機に撃たれたのだ。

正当防衛でなければ敵を撃ってはいけない、つまり敵に攻撃されて初めて相手を撃つことができる。
当時のあの狂った法律のせいで、私の父は死んだ、隣国のパイロットに殺された。
なのに、その事実は伏せられた。
本当ならこの時点で戦争が起こっても不思議はないが、時の政権は隣国に媚びた政権であり、余計な波風を立てたくはなかった、というのが私の入手できた情報だ。
それ以上のことは何も分からない。
これ以上触れたら、きっと命の危険に晒される。
この国は国民の命よりもかの国との利益の方が大切な国だったのだ。

「姉ちゃん、またここにいたんだ」
弟だった。
「ここが一番落ち着くのよ。それより、どうしたの?あんたがここに来るなんて珍しいじゃない」
「そりゃ姉ちゃんみたいに飛行機馬鹿じゃないから」
「・・・飛行機馬鹿って」
「そんなことより、これ、きてたよ」
私が受けた航空会社からだった。
父が散ったこの空で私は働きたかった。
ありえないことは分かっている、でも空の上でなら父に会えるかもしれない、そう思った。
それだけの理由で、でも空への浪漫は捨てられず私は地元の小さな航空会社のフライトアテンダントの採用試験を受けた。
本当は空軍への道も考えたが、父は私が空の悪魔になることをきっと望まない、まして空軍パイロットになったら復讐の機会を窺うことしか考えないだろう、そんな自分になってしまうのも怖かったから、民間の小さな航空会社を選んだ。

そして・・・

見事に合格していた。

その瞬間、私は周りの目も憚らず弟に抱きつき喜んだ。
「ちょ・・・、姉ちゃん苦しい。見られてる見られてる・・・」
弟は迷惑そうだったが関係なかった。
この喜びを伝えたかった。
誰かに、父に、自分自身に。

父は、私がこの空で天使になることを喜んでくれるだろうか。
でも、あの父のこと、きっと喜んでくれるはず。

天使見習いへの切符を掴んだ私の一歩は、こうして始まる。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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